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Singapore

March 16, 2022

LIBOR Transition 日本及びアジア太平洋地域の最新動向

Headshot of Xiao Xiao
Xiao Xiao
Head of Derivatives and Regulation, APAC
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Michelle Wong
Regulatory Research Specialist

2021年末にLIBOR算出の終了計画が公表されて以来、銀行間取引金利(IBOR)の代替となるリスクフリー指標金利への移行につき、アジア太平洋地域の各国の対応はそれぞれ異なる段階にあります。

2021年3月、金融行動監視機構(FCA)は、すべての通貨および期間に対するLIBOR公表の停止スケジュールを正式に発表しました。GBP LIBOR、EUR LIBOR、CHF LIBOR、JPY LIBORは12月に終了し、USD LIBORの特定の期間レートは2023年6月末までに廃止されます。

LIBOR算出停止スケジュール公表後、新指標への移行準備が加速する中で、弊社は、弊社既存商品の新しい指標金利への対応に加え、新しい指標金利の流動性向上を支援する新商品を提供しています。また、弊社は、指標金利変更過程における顧客支援のため、弊社データ・分析サービスに新指標金利を積極的に採用しています。 これから述べるように、アジア太平洋地域の各国では、LIBORと各国の代替レートの計算方法の違いの差の大きさにより、新指標金利への移行準備のスピードに差が生じています。

日本

日本円LIBORは最も早い時期に停止される通貨の1つであったため、日本はLIBOR停止公式発表後、2020年時点で2,000兆円にものぼるLIBOR契約残高がある中、直ちに移行作業の加速を迫られました。

日本は日本円LIBORに代わる指標金利としてTONA(無担保コール翌日物金利)を導入しました。しかしながらTONAは、金利やクーポンの支払いのためにあらかじめキャッシュフローを計算、計画する市場参加者が、それら情報を得ることができないものとなっています。

この問題を鑑み、英国や米国の規制当局に倣い、日本の金融庁は、市場参加者があらかじめ支払額を把握することができる「 TONA」をベースにしたTORF (東京ターム・リスク・フリーレート)を導入しました。

しかしながら、市場ではTORFの根底にある OIS 市場の流動性に関しての懸念が依然として残っている状況です。

また、これら 2種類のリスクフリーレートがすでに導入されているにも関わらず、日本では未だ銀行間オファーレートから完全に代替金利指標に移行をしているわけではありません。 日本銀行協会算出のTIBORレートは引き続き国内での指標金利として広く参照されており、 2017 年には算出過程の透明性向上と銀行からの提供率の向上目指した改善が講じられています。

その結果、日本では、現在、銀行間提供レートとリスクフリーレートをあわせ、 3 つの選択肢が存在しています。これにより市場参加者は最適な指標金利を柔軟に選択できますが、このような状況は中心となる指標金利への集中を妨げる要因にもなっています。

日本は、日本円LIBOR からの移行を順調に進めており、前回 のアジアパシフィック における指標金利改革の進捗状況についての情報更新以来、非常に多くの進展がありました。 2021 年 12 月末までに、調査対象 となった42 機関が、LIBOR ベースのデリバティブ取引、および債券の99%で日本円LIBORの参照を終了しています。 契約上の問題によって日本円LIBOR の参照を中止することが困難である場合、規制当局の厳格な監視下でのみ、合成日本円LIBORレートの使用が許可されています。

シンガポール、タイ、インド、フィリピン

日本に次いでLIBORからの指標金利移行の問題が差し迫っているのがシンガポール、タイ、インド、フィリピンであり、これらの国で使用されているUSD LIBORは、2023 年 6 月までに廃止されることとなります。

日本では、LIBORを継承する新指標金利として銀行間金利とリスクフリーレートの共存を認めていますが、シンガポールではLIBORの使用を中止して、単一のリスクフリーレートである SORA (シンガポールスワップ・オファー・レート)の使用実績を積み上げることに注力しています。

シンガポールでは、 2 つの主要指標金利、SOR(シンガポールスワップオファーレート)と SIBOR (シンガポールインターバンクオファーレート)が存在しますが、、それぞれ 2023 年 6 月と 2024 年 12 月に廃止される予定です。 代替金利( SOR )は、契約上の理由により指標金利の切替が難しい場合に、3 年間に限ってのみ利用することができます。

SORAは、2021年8月までに SORデリバティブを上回る規模で、市場に浸透してきました。 また、キャッシュマーケットでは、国内主要銀行の SORAベース契約残高は、 2021 年 4 月末には約 42 億シンガポールドルにまで増加しました。

同様に、タイの指標金利は THBFIX (タイバーツフィクシングレート)から THOR (タイ翌日物レポレート)に切り替えられます。

タイの金融機関は、 2022 年 7 月から THBFIX を参照するデリバティブの新規提供を停止し、2025年以降に満期を迎える契約残高の合計を2022年半ばまでに50%、2022年末までに25%へと徐々に減らしていくと予想されています。

一方、インドは銀行に対し、新規契約はMIFOR(ムンバイ銀行間フォワードアウトライトレート)から、調整SOFRレートと、指標金利管理者のフォワードプレミアムレートを参照する修正MIFORの新規契約に移行するように提言しています。 調整MIFORは、既存契約のだいたい金利としても提供されました。

フィリピンでは、PHIREF(Philippine Interbank Reference Rate)の指標金利管理者が、PHIREFと同様の算出方法を採用し、LIBORではなくスプレッドのあるSOFRを利用して、LIBOR利用の旧取引の代替レートとして推奨しています。

その他アジア太平洋地域

前述のアジアパシフィックの各国は、LIBOR指標金利切替の緊急性に直面している中、アジアパシフィックの他の国々は前述の国々とは異なるスピードで移行を進めています。たとえば、オーストラリア、香港、ニュージーランドなどの国は、既存の指標金利を廃止する意向はありませんが、代替レートとして機能し、また、世界標準に合わせるための独自のリスクフリーレートを開発しています。

しかしながら、これら地域の金融機関が安心してよいわけではありません。 例えば世界で3番目の米ドル取引規模を持つ香港は、2020年には、HIBORよりもはるかに大きなLIBORベース取引残高を保持していましたが、香港通貨当局によると、香港の銀行セクターは、LIBORから新指標金利(ARRs)への移行を順調に進めており、LIBOR参照契約の再交渉、同じくLIBORを参照するほぼすべての契約の修正、代替金利利用計画を実施予定です。金融機関は、香港通貨当局のガイダンスに従い、LIBOR参照契約の新規取引を停止しましたが、すでに多くの市場参加者がすでにARR参照取引を行っており、銀行セクターのARR参照取引残高は増え続けています。

韓国では、CDレートの代替となる指標金利および代替金利レートとして、国債および通貨安定化債券の翌日物レポレートが選定されたことを公表しました。 マレーシアではMYOR(マレーシア翌日物金利)をKLIBOR(クアラルンプール銀行間取引レート)の新しい代替参照レートとして公表しました。 マレーシアイスラム市場技術開発委員会(IMTDC)は、2022年前半までにクアラルンプールイスラム参照率(KLIRR)に代わる新しいイスラム参照金利の公表を予定しています。

アジアパシフィックの各国は、LIBOR指標金利移行に関し、それぞれ異なる状況にあり、結果としてさまざまな取り組みを実施しています。LIBOR指標金利が廃止されるまで残り16か月となりますが、業界にはなお多くの課題が残されています。